Treatment

診療案内

診療内容

当診療科は呼吸器疾患の外科的治療を専門に扱う科です。肺がんや縦隔腫瘍も胸腔鏡や適応症例には手術支援ロボットを用いて2~3cmの小切開で手術をしています。気胸や手掌多汗症の外科的治療も行っています。我々は患者様の負担を少なくする呼吸器外科治療を目指しています。
呼吸器外科は一般外科を基礎に外科専門医を取得し、さらに呼吸器外科専門医を取得する構造になっているため、全般的な外科の技術と知識も具備しなければなりません。主たる専門が肺がんであり、呼吸器腫瘍治療学を主題にして診療・研究を行っております。
当科の常勤教室員は計6名で、出身大学も様々で多彩な人物の集合体となっており、医局の中は隔たりも偏りもない自由な雰囲気です。今後も、臨床、研究、教育の発展に取り組んでいきます。

診療・治療実績

当科の歴史

当科は2001年4月に開設されました。当時は原発性肺がんに対しては胸腔鏡補助下手術が標準アプローチ法でしたが、2009年10月に肺葉切除に対するモニター視による完全胸腔鏡下手術を導入し、2013年からは全摘や区域切除にも適応拡大し、2019年からはロボット支援胸腔鏡下手術も導入しました。昨今では総手術件数、原発性肺がん手術件数も年々増加傾向にあります。

当科の基本理念

  • 患者様満足度(Patient Satisfaction,PS)の追求
  • その実現への探求

手術総件数推移

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(年) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
原発性肺悪性腫瘍 115 123 119 141 149 154 174 175 191 189
原発性肺癌 71 87 97 95 100 114 102 114 120 118 139 148 153 170 173 189 189
転移性肺腫瘍 34 12 33 33 37 39 35 38 42 49 39 46 31 40 42 35 39
縦隔腫瘍 12 16 38 36 19 23 17 24 15 19 16 20 29 16 18 32 28
気胸 28 33 49 54 52 48 42 46 43 39 47 48 46 57 56 61 42
膿胸・胸膜炎・縦隔炎 10 5 8 12 8 6 14 13 5 5 7 14 9 3 8 3 13
その他 74 86 75 73 58 68 70 60 60 51 50 47 39 46 31 36 44
合計 229 239 300 303 274 298 280 295 285 281 298 323 307 332 328 356 355

原発性肺癌手術件数推移

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(年) 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
手術数 39 36 40 62 71 87 97 95 100 114 102 114 120 118 139 148 153 170 173 189 189
肺癌術式内訳
全摘 3 6 5 4 2 1 2 2 3 0
葉切除 92 102 90 117 115 111 119 112 129 133
区域切除 5 2 4 3 7 8 15 16 15 26
部分切除 14 10 19 15 24 33 34 43 42 30
合計 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 114 120 118 139 148 153 170 173 189 189
アプローチ
開胸 39 36 40 62 71 87 97 74 94 106 99 12 10 11 24 18 17 2 5 10 4
胸腔鏡補助下 21 6 8 3 4 1 0 1 0 0 0 0 0 0
完全胸腔鏡下 98 109 107 114 130 136 152 159 166 175
RATS 16 9 13 10
鏡視下手術数 0 0 0 0 0 0 0 21 6 8 3 102 110 107 115 130 136 168 168 179 185
鏡視下手術完遂率 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 22.1 6.0 7.0 2.9 89.5 91.7 90.7 82.7 87.8 88.9 98.8 97.1 94.7 97.9

疾患、手術の説明

当科で扱う疾患

  • 原発性肺悪性腫瘍(原発性肺がん・MALTリンパ腫や肺肉腫などの肺原発悪性腫瘍)
  • 転移性肺腫瘍(結腸直腸がんが最多ですが、頭頚部がん・肝細胞がん・食道がん・乳がん・甲状腺がん・子宮がん・膀胱がん・腎細胞がん・精巣腫瘍・骨軟部肉腫など)
  • 縦隔悪性腫瘍(胸腺がん・浸潤型胸腺腫・胚細胞性腫瘍・脂肪肉腫など)
  • 縦隔良性腫瘍(非浸潤型胸腺腫・奇形腫・神経原性腫瘍・気管支原性嚢胞・心膜嚢胞など)
  • 良性肺腫瘍(肺過誤腫・硬化性肺胞上皮腫など)
  • 炎症性肺疾患(肺非結核性抗酸菌症・肺真菌症・肺化膿症など)
  • 気胸(自然気胸・続発性気胸・外傷性気胸など)
  • 膿胸(無瘻性・有瘻性)
  • 胸膜・胸壁腫瘍(胸膜中皮腫・孤立性線維性腫瘍・神経原性腫瘍など)
  • 重症筋無力症に対する拡大胸腺摘除術
  • 診断的生検(肺生検・腫瘍生検・縦隔リンパ節生検・胸膜生検など)
  • 心タンポナーデに対する心膜開窓術
  • 胸部外傷
  • 手掌多汗症

いずれも耐術能含め,切除可能なものが対象となります

当科の手術アプローチ

原発性肺悪性腫瘍手術の約95%を完全胸腔鏡下手術で実施しており(ロボット支援胸腔鏡下手術を含む)、転移性肺腫瘍手術のほぼ100%を完全胸腔鏡下手術で実施しております。
当科で行っている原発性肺悪性腫瘍に対する完全胸腔鏡下手術は、3カ所の小さい創(1.5~3cm)による完全モニター視によるものです。
カメラは5mm細径フレキシブルハイビジョンスコープを使用しと、創にはポートを留置せずにマルチデバイスを挿入して操作しております。これにより、手術侵襲を低減しつつ、近接しながらもほぼ死角の無い高画質画像の描出を得て、安全性の担保と質の高さの両立を可能としています。
第6肋間後腋窩線上に1st port、第6肋間聴診三角に2nd port、第3または4肋間中腋窩線上に3rd portをおいた3ポート(運用はポートレス)

画像は例です

原発性肺癌アプローチ法推移

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(年) 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
全摘 3 6 5 4 2 1 2 2 3 0
葉切除
(スリーブ葉切除・二葉切除を含む)
92 102 90 117 115 111 119 112 129 133
区域切除 5 2 4 3 7 8 15 16 15 26
部分切除 14 10 19 15 24 33 34 43 42 30

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アプローチ法 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
開胸手術 12 10 11 24 18 17 2 5 10 4
胸腔鏡補助
下手術
4 1 0 1 0 0 0 0 0 0
完全胸腔鏡
下手術
98 109 107 114 130 136 152 159 166 175
ロボット支援
胸腔鏡下手術
16 9 13 10

化学療法(抗がん剤治療)

当科では手術のみならず集学的治療の一環でもある化学療法にも力を入れています。肺がんの術後補助化学療法における殺細胞性抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤や分子標的製剤などを組み合わせた治療法、また肺がん再発時の化学療法や、悪性縦隔腫瘍術前化学療法なども呼吸器内科との密接な連携のうえで積極的に実施しております。

教育

安全な手術や質の高い手術にはLogic(論理)があります。このLogicを教授することで、手術は飛躍的に上達します。当科ではそのような手術教育を日々繰り返し行っています。
また、学生を対象とした学会発表、学生や研修医への教育を目的としたウェットラボ(ブタの摘出心肺を用いた開胸手術や胸腔鏡手術の実体験トレーニング)を年に数回開催しております(不定期開催)。医学生や研修医で興味がある方は、入局案内ページに記載の担当者まで御連絡ください。

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